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きもの×進化

1.ホモサピエンス

世の中の原理原則とは弱肉強食なのか、適者生存なのか。1億6,500万年もの間地球上で覇権を握っていた恐竜は、小惑星の衝突により舞い上がったチリが大気を覆い太陽光を遮断したことにより死滅しました。巨大だったばかりに、大量に必要とする餌に不足し自滅したのです。そんな中生き残った哺乳類はまたもや巨大化し、マンモスをはじめとする大型哺乳類が多く存在するようになりました。その後、氷期と関氷期を繰り返す厳しい環境を受け、大型哺乳類がほぼ絶滅したのは奇しくも恐竜と同じ結末を見るようです。

その後生き残った霊長類の中で、巨体を持たない人類がどうやって生き残ってきたのか。ネアンデルタール人は大型で2足歩行で石器を使い、火を使い、アフリカのみならず各大陸に広がっていました。ネアンデルタール人がホモ・サピエンス(以下人類)に敗れた理由は定かにはなっていませんが、その大きな要因は「共通概念の理解」だったという説を自分は信じています。

ネアンデルタール人は、日々の狩りによって食物を協同で手に入れ分かち合うという、生存本能に基づいた集団を形成してきました。それに対して、人類は言葉を介して共通概念(共通な目的や夢や理念)を持つことで集団形成できる能力があったようです。経営理念を元に会社が運営されたり、選挙で公約を元に集団の長を選ぼうとするのが人類だとしたら、日々の狩りを一番上手に出来る人を選ぶのがネアンデルタール人ということでしょうか。

時に自分のことだけを考えて生きていると頑張れなくなることがあります。そんな自分を元気にしてくれるのは家族や会社の仲間の存在であり、誰かのお役に立っているという実感を自分が持てた時に自己重要感が高まり幸せを感じることができます。誰かのお役に立ちたいという気持ちは、人類の根源的なDNAなのかもしれないと感じます。

そして現代、共通理解への欲求は衰えを見せるばかりか、地域を超えて、人種を超えて、より多くの人々とつながりたいという世界中の人々の願望がインターネットを産み出したのです。ローマ教皇が「インターネットは神からの贈り物である」と発言されたように、第4次産業革命とは人類が通る必然なのだと思わずにはいられません。

以上から、「弱肉強食」ではなく「適者生存」こそ原理原則であり、これは企業においても同様であると考えます。大きな時代の流れに沿い今後の経営方針を適切に変えていくことはとても大切です。第4次産業革命という激動の変化を迎えている今日、変わりたくないと思う人に対しては大きなストレスが与えられ、変化を楽しもうと思う人にとってはワクワクをもたらし大きなチャンスが与えられるでしょう。改めてたちばなグループ社員さんには、変化を楽しもうとする自発的で前向きな気持ちを持ってほしいと切に願います。楽しんでいきましょう。

2.Web1.0から2.0そして3.0へ

昨今良く耳にする、「DAO」や「NFT」という言葉を理解するには、Web3.0という概念を理解する必要があります。インターネットは誰が生み出したのかという説は諸説ありますが、たった一人が作ったのではなく、イギリス・アメリカ・フランス・他様々な国が発明した概念を繋ぎ合わせて誕生しました。世界中のHP等の情報を自由に閲覧できるようになった時代がWeb1.0という時代です(1990年半ば~2005年)。

発信者が一方的に作成する静的なHPに対して、相互作用(いいね!やコメント)のある動的なSNS等のプラットフォームが出来、Web上のコミュニティが広がり、ウィキペディアのような集合知が誕生したのがWeb2.0(2005年~)です。GAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)は、インターネットをより便利に活用する方法を提供することで、世界的企業に成長しました。GAFAMを代表するプラットフォーマーの誕生により、多くのサービスが無料で使え利便性がもたらされた半面、個人情報は企業に集約され、世界の富も集まり、それらの企業の自社利益優先の姿勢により多くの弊害も発生してきました。その弊害を解消しようと、2014年に提唱された概念がWeb3.0です。

フェイスブックやグーグルが大量の個人情報を漏洩しました。日々個人が何に関心をもって何を検索していて誰とやり取りをしているのかそんなプライベートな情報をプラットフォーマーがどう使おうとするか。例えばウェブで爆弾の作り方を調べ、その材料を購入した人は、その行動履歴を管理され、事件が起こった時は危険人物とみなされ逮捕されるかもしれません。そういった凶悪犯罪を防ぐための情報管理という側面はプラスの側面かもしれませんが、体制の人間を統制するために時の権力者が個人情報を利用し排除するために使用するようになった時、日本も某国のように人としての基本的人権は失われるでしょう。

情報は個人ではなく企業の所有であるという点も問題です。SNSでどれだけコツコツとフォロワーを増やしていっても、そのフォロワーを他のSNSに引き継がせることはできません。トランプ前大統領がフェイスブックやツイッターからバン(アカウント停止)されたことからも、長年コツコツと発信してきたフォロワーが、プラットフォームにバンされて一瞬で存在しなくなるリスクもあります。

グーグルは検索順位を握っているという支配的な地位を利用して、商取引や検索、出版、広告などで自社に有利な価格やルールを設定し続けています。食べログなど多くの口コミサイトが誕生しましたが、いつの間にかグーグルが同様のサービスを開始し、そういうサイトは締め出されるようになってきているのがその一例です。

3.適者になる

そういった弊害を解消するためのWeb3.0は分散型インターネットともいわれており、大きな特徴は以下の4つです。

  • 情報所有者をプラットフォーマーからユーザーへ戻す
  • サービス利用時に個人情報の開示を不要とすることでセキュリティーが向上する
  • 国境や人種を超えたサービスの展開が出来る
  • 使われる通貨は全て仮想通貨

アメリカ大統領選においても、フェイクニュースの問題が大きく取りざたされ、グーグルは200個のニュースサイトを追放しました。情報が溢れかえる中でどの情報が正しいのかを見極める力がWeb3.0の時代には求められています。今回の自分の情報源もWeb上から拾ってきたものであり、その真偽は定かではありません。これだけ沢山の情報の中からどの情報が正しいのか正確に掴むのは容易なことではありません。楽なのは誰か(例えばグーグル)が正しいと思わせたい情報を信じることです。しかしながらGAFAMも一企業であり、自社の収益を損なう情報は統制する、または間違った方向に誘導しようとするかもしれません。本当に世界がより良くなるための情報なのかの真偽を確かめる責任はやはり私達一人ひとりにかかっているのです。盲目的に信じることは、独裁者を信じ大きな戦争につながった過去の失敗を繰り返す危険性があるのです。

「DAO」とは自律分散型組織であり、管理者がいないのが特徴です。組織の目的にそった人へトークンが与えられ、組織の意思決定はそのトークンを持っている全員による多数決が基本となります。完全ボトムアップ組織を目指す動きが世界にあるということです。

「Brave」とは次世代グーグルクロームとも言われ、広告の非表示をユーザー設定に出来、広告表示をOnにすると、広告を見た分BATという仮想通貨を個人が貰えます。今までは広告収入をプラットフォーマーが寡占していましたが、個人に還元される仕組みに大きく変わります。

「NFT(非代替性トークン)」は鑑定書の役割となり、個人のアート作品が転売される度に製作者へ手数料が入るようになります。

「DeFi」は管理者のいない銀行です。マイナンバー制度で個人資産を管理しようとしている国家からすると脅威になるでしょう。

そういった様々な新技術により、仮想空間「メタバース」ではアバターの着る服や装備が売り買いされ、ゲームの課金の在り方も様変わりしています。仮想空間では着付けを覚える手間や時間は掛かりませんので、現実よりも多くの方が着物を着ていただけるようになっていくでしょう。そんな世界で着物を販売するには何をしたら良いのか、考えるだけでワクワクします。そんな時代の流れを捉え「適者」であり続けるために、45期(2022年7月~)は路面店型新業態開発や、新規事業の立ち上げをしてまいります。私たちもワクワク変化を楽しみながら永遠に続く長寿企業を目指していきたいと思います。

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