1.さらば、宿題
AIについてこれ迄その能力はまだまだ限定的だと高をくくっていましたが、ここへ来ていよいよ「科学の進歩は止まらない」という言葉に現実味を感じずにはいられません。「さらば、宿題」…うちの子供たちも喜びそうなこの言葉は、「ChatGPT(チャットGPT)」が開発された時にイーロン・マスク氏がツイートした言葉です。
ChatGPTはOpenAI社(CEO:サム・アルトマン、創立者:イーロン・マスク氏他)が2022年11月に公開したサービスで、人間が質問を投げかけると、自動で文章を生成し巧みに返答する性能を備えた高度な対話AIです。
「例えば、○○という本の読書感想文を書いて」とリクエストします。ものの数秒でその本の要約内容と、最後は感想コメントも入れて見事な文章を回答してくれます。「400字以内で」と追加すれば、きちんとその文字数に収めてくれます。開発時点で電子化されてさえいれば、会長の本(https://www.tachibana-group.co.jp/16112/)の感想文もChatGPTが書いてくれます。さらに面白いのは、「サンタは存在しないという手紙を、子供のために書いて欲しい」という無茶ぶりなリクエストに対しても、「親愛なるエミリー、私は実在する人間ではありませんが、ご両親の愛から生まれ、あなたに語られてきたキャラクターです。(中略)大きくなって学びを重ねても、魔法と愛と親切さを忘れないで下さい。サンタより」といった、ユーモア溢れる抜群の文章力で回答してくれます。Siriだったら「よくわかりません」と言われそうですね(笑)。その文章力はなんと、MBA試験合格レベルに達していると米ペンシルバニア大学は認めています。人生相談や、旅行の計画まで何でもそれなりに的確に回答してくれます。
そんなサービスが今は無料で使えるということで、公開からたった一週間でユーザー数は何と…100万人超!その100万人が使うたびにAIは更に賢く進化し続けるということなので、今はまだ変な回答も混じることもありますが、1年後にはどうなっているか、末恐ろしくなりますね。
2.DALL・E(ダリ)2
もう一つ、OpenAI社が注目を集めているサービスが2022年7月に公開の「DALL・E(ダリ)2」です。こちらは文章による指示をもとに、内容に沿った画像やイラストを生み出す次世代AIです。例えば「1980年代に月でAIを研究するテディベア」という非現実的なリクエストに対しても見事に画像データを作り出してしまうのです。
例えば住宅の設計図なども、要望をリクエストすればAIが作ってくれるのですから、設計者は設計図を書くだけではなくプラスの価値を提供する必要があります。AIに出来ない提案、それはお客様にとって一番美しいと思える設計を提案することです。美しさの概念はひとそれぞれであり、その定義は100人100様だからです。沢山の情報からその人の主観(好み)に合う提案を出来るのはまだまだ人間力が必要なのではないでしょうか。
次世代AIの開発において他社も負けてはいません。グーグルは自動動画生成AI「ImagenVideo」を開発し、言語テキストを動画にすることも可能にしました。「お皿を洗うテディベア」というリクエストを入力すると数秒の動画を作成してくれるようです。静止画でも十分すごいのに動画まで!もう驚きを超えて笑い出してしまいそうです。科学の進歩は止まらないようです。
3.人間に求められるもの
ChatGPT等のAIの進歩により、学校教育は暗記中心のやり方からどう変わるのでしょうか。ある大学からは論文がChatGPTによって書かれた論文かどうかをチェックするソフトが要望されているようですが、それはいたちごっこになるでしょう。
欲しい情報はAIにリクエストすれば、即座にあらゆる可能性を回答してくれます。回答の中のどの情報を活かすのがベストか判断するのが人間であり、今後は情報の扱い方を教える教育になるだろうという予測が立ちます。そして必要な情報は何なのか、自分達から積極的に探し出す力も必要になると思います。呉服の世界であれば、潜在顧客層のニーズやウォンツを数値的に引っ張り出す力です。
弊社商品部はあらゆる販売データを見える化すべく情報を整理してくれていますが、お客様アンケートを含め、私たちはもっとお客様の声を情報として積極的に数値化していくことも大切になってきます。
もう一つ大切だと思うのは「主観(叶えたい想い)」の大切さです。例えば本屋を立ち上げるのにどんな立地が良いか?マス視点で考えると、人通りの多い場所に出店するのが良いという回答になります。しかしながら本の魅力を一冊ずつお客様一人ひとりに伝えながら販売したいという店は、例え田んぼの真ん中という立地でも繁盛店が存在し、これはまさにデータから出た中央値による出店ではなく、主観(叶えたい想い)による出店といえます。データから得られる分析によって成功確率が高いビジネスモデルを探すのはAIを使えば誰でも簡単に出来る時代が来るでしょう。AIによって見つかるビジネスモデルは最適解かもしれませんが、他の店との差別化・独自化は全くなくなります。やはり自社独自の強みを生み出すのは、自分(自社)が叶えたい想いを叶える為に情報をどう活用していくかが出来る人間だということです。
4.最後に
今年もコロナの影響があったとはいえ成人式は無事開催され、たちばなグループは総勢1,800名を超える新成人を無事成人式会場に送り出すことが出来ました。年々ママフリが増えて来ていますが、今年は特に小物合わせが皆オシャレで、ブーツ姿の方も例年より多く見られたのは少なからずたちばなのCMも影響したのではないかと感じています。残念だったのは出席率でした。長野エリアにおいては例年の参加率が70%超に対して、およそ55%の参加率ということで、その理由がコロナ感染によるものであれば仕方ありませんが、成人式への参加意欲の低下による欠席もゼロとは言えず、アフターコロナとは改めてコロナ前には戻らないのだと環境の変化に対応する必要性を多分に感じる成人式でした。
今後のさらなる環境の変化に対応すべきたちばなグループの主観とは何なのか?それは経営理念です。大きな想いの方向性は今でも変わっていませんが、時代の変化に合わせ更なる成長をする為には、その理念をもっとわかり易いカルチャー(行動パターン)にまで落とし込む必要性を感じており、現在来期に向けて見直しをしています。ざっくりというと多様性を受け入れ一人ひとりが輝く組織体を作るための指針を盛り込んでいきたいと思っています。8月の経営計画発表会にて発表予定です。現在黒字とはいえ決して油断は出来ない状況です。茹でガエルにならないよう、健全な危機感をもって今期も良い結果で終われるよう皆で行動していきたいと思います。